[語学学習の基本]基礎・発音 II イギリス英語編
語学学習の基本シリーズ・基礎の発音 II、イギリス英語の巻です。皆さんはイギリス英語に馴染みはありますか?アメリカ英語に比べると耳慣れない方も多いと思いますが、PR(容認発音)と呼ばれるイギリスの標準発音は、意外と日本人にとって学習しやすいアクセントです。
またTOEICでもイギリス出身のネイティヴがスピーカーの設問もあり、アメリカ式の英語発音を習得されたい方でも、学んでおいて損はないはずです。
[語学学習の基本]
・入門
1. 外国語学習の心構
2. 外国語学習の方法
・基礎
1. 発音 I アメリカ英語編
2. 発音 II イギリス英語編
3. 語彙編
4. 文法編
・展開
1. 音読パッケージ編
2. 瞬間英作文編
3. 精読・多読編
I. イギリス英語
日本の英語教育では依然としてアメリカ英語が主流です。アメリカのセレブのゴシップが日本のワイドショーでも報じられる他、アメリカのドラマも音楽も映画も、海外のポップカルチャーの中では群を抜いて人気で、みなさんにもっとも馴染みのある英語のアクセントなのではないのでしょうか。
また、イギリス英語も、ハリーポッターなどの映画や、ロック・テクノといった音楽面でも際立った活躍をみせるカルチャーのおかげで、みなさんも一度は耳にしたことがあるはず。
オーストラリア英語も大きい括りではイギリス英語の一種とも言えるため、留学やワーキングホリデーで渡豪された経験がある方も、なんとなく馴染みのあるアクセントだと思います。
パッとイメージの湧かない方は、イギリス出身のハリー杉山さんがアメリカ出身のSHELLYさんとイギリス英語 & アメリカ英語の違いについてラジオ番組でお話しされているので、よろしければご覧ください。
発音以外にも文化や言葉の違いについても言及していて、面白い内容になっています。
II. イギリス英語の発音
皆さんはイギリス英語にどんな印象を持っていますか?
有名なところでは、"r"の発音があります。例えば"car"は、アメリカでは最後の"r"の部分で舌を巻きますが、イギリスではほぼ日本語読みと同じで「カー」となります。
他には、"t"をはっきり発音するのもアメリカ英語との違いです。"water"はアメリカ英語では「ウォーラー」と、ラ行のように聞こえますが、イギリス英語では「ウォータ」。前述の"r"の件もあり、発音がかなり違います。
そのようなポイントがいくつかあるのですが、発音する、ということに限定して言えば、確かにイギリス英語は日本人にはアメリカ英語よりも発音しやすいです。
一般的に日本人に難しいとされる"r"の発音も使用される機会が極端に少ないです。個人的には、LとRの発音よりも、wantとwon'tの方のが難しいとは思うのですが...
そんな訳で、イギリス英語の発音をマスターしたいのであればこのテキスト。
イギリス英語でしゃべりたい! UK発音パーフェクトガイド (CD付) (CD BOOK)
- 作者: 小川直樹
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一つ一つの発音記号の解説や音声はもちろんのこと、リズムからイントネーションの基本まで、一冊でイギリス英語の音声的な基礎を押さえることができます。また、アメリカ英語との比較もあり、総合的に勉強することも可能です。
特に難しい内容ではないので、一つ一つの音を自分でも口に出しながら体で覚えてしまいましょう。時にはスマートフォンなどで自分の声を録音し、きちんと発音できているかもチェックしてみましょう。
ただし、イギリス英語を学ぶ上で一つ注意しなければいけないことがあります。それは、基本的に「イギリス英語」とされているPR(容認発音)を話しているのは、イギリス人口全体の3%ほどしかいないということです。
地域や階級によってアクセントは千差万別なのです。
実際にイギリスに行ってみると、出身によっては何を行っているのかわからないくらいのアクセントをお持ちの方がたくさんいます。PRでも、特に女性は話すのが早い方が多く、思いがけず自信を無くしてしまうこともしばしば。
しかし、このグローバルの時代、イギリスの地方のアクセントのみならず、インド系・中国系・ロシア系など様々なアクセントに遭遇するのは日常茶飯事。
アメリカ一つとっても、ヒスパニック系やアフリカ系コミュニティでは独自のアクセントやイントネーションを持つ人がたくさんいます。
しばしばコメディ番組のネタにもなっていますし、異文化を楽しむ、くらいの気負いで楽しんで接していきましょう。
また、BBCなどでのメディアではこのPRを標準語として設定しているほか、発音自体も綺麗と見なされることも多く、教養ある社会人と見なしてくれることも多いです。決して学んで損な訳ではありません。
II. イギリス英語のイントネーション
こちらの動画はイギリス出身の女性(左)とアメリカ出身の女性(右)が、それぞれの国によって同じ単語でも発音がどのくらい違うか、という話をしている動画です。英語のみですが、よろしければ冒頭のみでも視聴してみてください。
単語一つでもかなり響きが違うことがお分りいただけると思います。そしてそれ以上に、イントネーションがかなり異なることもお気づきいただけましたでしょうか?
個人的なイメージとしてはアメリカ英語は「ペラペラペラペラ」と、途切れるとこなく、緩やかな抑揚で波を打っているように、曲線的な音に聞こえます。
一方のイギリス英語の方が、どちらかというと「ツーーートコ、ツーーータカトコタカトコ」と、平坦なところもあれば急上昇・急下降がある、直線的な音の流れに聞こえます。
イギリスの映画やドラマ、ニュース番組をみていてもなんとなくイントネーションを掴めると思いますが、体系的に学びたい方は最初に紹介した本の姉妹書であるこちらをオススメします。
もっとイギリス英語でしゃべりたい! UKイントネーション・パーフェクトガイド(CD BOOK) (CD BOOK)
- 作者: 小川直樹,ナディア・マケックニー
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先ほど述べたイギリスのイントネーションをパターン化し、より自然でネイティヴに近い抑揚が話せるようにまとめられた良著です。
イギリス式の発音に特化した本は数多くありますが、この本のようにリズムとイントネーションに焦点を当てた本はなかなかありません。
イギリスのネイティブが使う日常表現も使用されており、タイトル通り、もう一歩踏み込んだイギリス英語を習得されたい方には特にオススメです。
また、ある程度英語がわかる方には、BBCが無料で提供している英語学習プログラム、「BBC Learning English」内の発音学習ページでも学ぶことが可能です。
いかにもイギリス!といったユーモア感覚で、イギリス英語の音に関して映像で学習できます。リスニングが苦手な方でも、スクリプト(原稿)が全て記載されていますので、リスニングの勉強にもなります。
BBC Learning Englishは他にも、6 Minutes Englishなどとても良質なコンテンツをたくさん提供しています。登録はもちろん利用も無料ですので、イギリス英語がお好きな方はぜひこの機会に登録してみてください!
III. まとめ
以上、発音 I イギリス英語編でした。みなさんのイギリス英語のイメージ、少しは変わったでしょうか?
アメリカ英語に聞き慣れていると「聞き取りづらい」と思いがちなイギリス英語ですが、ツボをきっちり押さえて慣れてしまえば問題ありません。
次回は語彙 I 単語集編です。お楽しみに!
Kitsuné