外国語GEEK Kitsuné の多言語学習BLOG

完全独学でIELTS 8.5 / TOEFL iBT 116 / TOEIC 965 達成。他の外国語も学習中。

[語学学習の基本]入門・外国語学習の心構

今回から数回にわたり、[語学学習の基本]と題して具体的な勉強法についてお話しします。

記念すべき第一回は「心構」。具体的な勉強法の説明に入る前に、外国語を学ぶ際にどのような意識や姿勢で望めばいいのか、ということをお話します。


[語学学習の基本]
・入門
 1. 外国語学習の心構
 2. 外国語学習の方法
・基礎
 1. 発音 I アメリカ英語編
 2. 発音 II イギリス英語編
 3. 語彙編
 4. 文法編
・展開
 1. 音読パッケージ編
 2. 瞬間英作文編
 3. 精読・多読編


I. 私の経験談

皆さんは、「英語が話せる」には、どのような勉強をすればいいと思いますか?

まずは右も左もわからないから、とりあえず駅前留学か海外の語学学校に行って勉強しよう、と思う方も多いと思います。果たして効果的でしょうか?

私は英語圏には留学したことはありません。

大学の頃、フランス語圏とドイツ語圏に留学しましたが、その頃英語に関しては大学受験合格程度のレベルで、大学でも英語の授業をとっていなかったため、下手すればドイツ語やフランス語の方が通じる、というお粗末なものでした。

帰国後、就職活動するにあたって、国際的なフィールドで活躍したかったため、改めて逃げがちであった英語の勉強に着手しました。

留学でお金も底をついたので、もっぱらの独習でした。高校レベルの文法事項や語彙を見直し、その後実践的なコミュニケーションなスキルのために鍛錬を重ねていきました。

教材選びやトレーニング方法など紆余曲折ありましたが、1年ほどするとTOEICTOEFLなどのスコアもあがり、基本的な4技能(リスニング・スピーキング・リーディング・ライティング)は卒なくこなせるようになりました。

そんな折、大学内で英語圏に留学経験のある同級生数人と仲良くなり、色々と話が進む中で気づいたことがあったのです。

「この子たち、一年も英語圏に留学に行っていて大学でも英語をメインに勉強していたはずなのに、自分より英語できてない...」

彼らは明るくノリもよかったので留学生からも好かれているようでしたし、普段の会話は何なくこなしているようでしたので、ハタから聞いている分には一般的には「英語が話せる」子だったと思います。

しかし、ちょっと難しい内容になると相槌を打つばかりで自分の意見はあまり言わず、ジョークなどもさほど理解していないようで、周りに合わせて笑っている様子が伺えました。


II. 語学留学か、国内独習か?


なんだか陰口みたいになってしまいましたが(笑)、その友人たちとは今も仲はいいですし、自分の勉強法を教えてあげたことでみるみる力をつけていき、今では難なく英語を使用してバリバリ仕事をしています。

ただ、その時に感じたことは、「語学留学や英会話学校に通っても、英語が話せるようになるわけではないんだな」ということでした。

実際に、その後何人もいわゆる「語学留学」に出かけた子で、目を見張るような語学力を持ち合わせる子に会ったことがありません。

大抵、身の回りのことを自分でなんとかする「サバイバル」する程度の語学力が身についている子、というのがほとんです。

下手したら、本当に最低限のスキルの子だっています。

もちろん、語学留学や英会話に行くこと自体は悪いことではありません。むしろ、ネイティブスピーカーがひしめく環境に赴くのは語学力を向上するには格好の練習場です。

しかし、ネイティブスピーカーとのコミュニケーションは、言って試合本番です。十分なトレーニングや基礎体力がなければ、得るものも得られず惨敗して「思い出づくり」の経験になってしまします。

国語学習に必要なのは、自分自身で勉強していくこと、そして正しい勉強法を見つけることです。環境でなんとかなるものではなく、また一朝一夕のメソッドもありません。

その子たちが何十万も語学学習にお金を費やす間に、僕は一冊2,000円もしない本を数冊やり込んだだけした。

YouTubeを利用したり、レンタルビデオ屋で海外ドラマや映画もたくさん借り、音楽も様々なものを聴きました。今ではNetflixSpotifyもありますから、もっと安価ですね。


同じお金を使うのであれば、正規の留学で、何かを学びに、働きになど、習得した言語を活かす使い方をした方がいいです。


III. どうのように学習を進めればよいのか

言語学習は一朝一夕とはいきません。特に、最初の基礎段階は基本的にインプット学習になるので、なおのこと、机の上での孤独な戦いになります。

しかし、それは何も語学だけの話ではありません。ピアノも、基礎の技術がなければ大曲に挑むことはできません。野球も素振りから。ダイエットも毎日の積み重ね。


① まずは、目標と目的を設定してみよう

やみくもに外国語を習得したい!と思ってもなかなか上達しません。具体的にどんなスキルを習得したいのか、自分に必要なスキルは何か、とあらかじめリストアップしておくのは、学習を始めるの前に
大事な作業です。

海外旅行の時に困らない程度習得できればいいのかもしれません。仕事で必要な方もいるでしょう。洋書が読めるようになりたい、外国人と結婚したいと思っている人や、漠然と海外移住したいと考えている人もいるかもしれません。

なんでもいいです。なるべく具体的に考えてみましょう。本当に実現させたいことを目的として設定してみてください。そのために必要なスキルも、合わせてイメージしてください。それを当面の目標にしてください。今後の学習の大事なモチベーションになります。

もちろん、学習を続けていく上でその目標を修正していくのは問題ありません。自分が思っていた以上に習得のスピードが早く、これならもっと上を目指せるかも!ということはよくあることです。

その頃には、勉強する習慣や方法も身につき、そのスキルに向かって必要なことは何かということがより具体的なビジョンとして見えてくるはずです。


② 語学学習の基礎体力と習慣づくりを徹底しよう

このブログでは、極めてベーシックな正攻法をご紹介していく予定です。

特に本シリーズの「語学学習の基本」では、どの言語にも対応できる基礎体力の学習法を、英語を例としてパッケージ化したメソッドをお話ししていく予定です。(その他の言語に関しては、別の記事で作成したいと思っています)

基本学習のフローとしては、①基礎学習(発音・語彙・文法・構文)、②展開学習(リピーティング・シャドーイング・ディクテーション)です。その後、実践編の展開学習として、様々な学習法をご紹介していきます。

皆さんの聞き覚えのあるフレーズが並んでいるのではないでしょうか。それもそのはず、語学学習に近道や裏技はありません。正面から取り掛かるしかないのです。

語学が苦手だと感じている方は、おそらく、基礎体力づくりと言える基本学習部分で正しい勉強法で学習してこなかった、もしくはそれ以後、自分にあった発展学習を見つけられなかった、のどちらかに該当すると思います。

基本学習はいわば筋トレです。どの競技にも必要だけれど、普段目に見えない影の部分。しかし、決められたルーティンに従えば、必ず成果の上がる部分でもあります。準備体操だと思い、皆さん取り組んでください。

個人差もありますが、3ヶ月から半年くらいで一通りの基本学習は終わります。

長く感じるかもしれませんが、語学学校などのカリキュラムでは基本文法を一年で終わらせるところも多いです。

それに比べたら自分に合ったペースでより効率的で終わらせられお金もかからないので経済的!身についた語学力で、ご褒美に海外旅行に出かけた方が有意義ではないでしょうか。


③ インプットとアウトプットをバランスよく

基本学習では、基本的に基礎知識をインプットしていく作業になります。文法・語彙を徹底的に自分の身体に染み込ませ、骨や肉にさせていくストイックな作業でもあります。

しかし、外国語のスキルというのは理解するだけではなく、伝えること、つまりアウトプットも欠かせないもう片足の部分です。

学習初期段階から、英作文や英会話も取り組むように、とは言いません。むしろできないはずです。泳ぎ方も知らないうちに大海原に投げ出されても、途方にくれてしまうだけです。

アウトプットというのは、単に自分の考えてることを伝えるだけではありません。実際に口を動かし、手を動かすだけ、つまり真似事でいいのです。

実際に基本学習のルーティンに含まれていることなのですが、音読をし、暗唱をし、書き出し、自分の口や耳や手にも、徹底的に自分の身体に英語を慣れさせてください

特に、五感を総動員させることを意識させてください。音読するときは文章を見ながら読んでいるはずです。暗唱するときも、自分の音に注意深く耳を傾けてください。描いてみる場合も、口を動かして一緒に音に出して見てください。

こんな些細なことでも、積み重なれば圧倒的な力となって語学力が向上するのです。

また、効率的に作業を進めることも意識してみてください。例えば、覚えると決めた文章を書いて暗記する場合にも、ノートに書く必要はありません。

WORDやGoogle Documentを利用すれば、無駄な紙もインクも必要ありませんし、タイピングが得意な方はもっと早く練習できます。タイピングの練習にすらなるはずです。



IV. 日本語に引きずられないように

よく日本の友人に、「これって英語でなんて言うの?」と聞かれることがあるのですが、基本的に翻訳しづらいものが非常に多いです。

有名な話ですが、「お疲れ様です」「ご苦労様です」といった基本的な挨拶表現は、英語圏には存在しません。

無理やり訳せないこともないのですが、日本と同じ文脈・状況で使おうと思うと違和感が生じることが多いのです。仕事終わりの場合は大抵、「See you!(またね)」など他の挨拶が用いられることがほとんどです。

日本語と英語含む外国語は全く違う言語です。一対一で覚えることは不可能です。

日本固有の調味料や食材だけでは、外国の料理を再現できません。現地の素材を味見したり調理法を勉強する必要があるのです。

日常会話に困らない、仕事でもバリバリ使える英語を、とお考えの方は、最終的にインプットもアウトプットも全て「英語」で行う必要があります。

日本語をいちいち英語に組み直して、逆も、ということではスピードが追いつきません。

しかし、ご安心ください。これも訓練でなんとかなります。基本学習の構成自体が、そのような組み立てになっています。

まずは、語学学習にとりかかる前に、「そういうもんなんだな」という意識だけは頭の片隅に置いてみてください。


V. 楽しく勉強する準備を

何はともあれ、「好きこそ物の上手なれ」。好きでなくとも、楽しくなければ勉強自体が続きません。

時には息抜きも大事です。そこにそっと英語をプラスしてみてください。

音楽が好きな方はこれを機に海外のアーティストの音楽を探してみてはいかがでしょうか。カラオケで洋楽縛りにチャレンジするのもいいかもしれません。

映画や海外ドラマが好きな方は、一日一本、何かのタイトルを見てみましょう。耳慣らしにも最適です。

本が好きな方は対訳ものや平易な語彙で書かれたものに挑戦したり、プロレスが好きな方はアメリカの試合の視聴をしてみてもいいでしょう。

海外の専門誌や雑誌、Webマガジンに軽く目を通して見るのでも構いません。きっと世界が広がります。

好きなものがあるというのは大きな強みです。前の項目で立てた目標・目的以外にも、この「自分の好きなもの」が軸となって語学学習の手助けとなることは大いにあります。



VI. 多言語習得のための英語学習

本シリーズ「語学学習の基本」は、英語学習を想定して進めていきますが、基本的にはどの言語にも応用できるベーシックかつマストな勉強法です。

本ブログでは、最終的に多言語学習メソッドや情報の共有を考えており、このページを読まれている方にも、英語以外の情報を!という方もいることでしょう。

すでに英語は大丈夫、という方も、ぜひ読み進めてください。

僕も改めて人に伝えるということを前提に色々と参考書を見直したり、勉強法をまとめたりする中で、改めて他の言語の学習に取り入れられていないな、と気づく点も多かったです。

必ず他の言語の学習にも効果的な勉強法が見つかるはずです。

また、英語は苦手だけどとりあえず他の言語を、と考えている方も、ぜひこの機会に僕の紹介する勉強法で英語にトライしてみてください。特にヨーロッパの言語は、英語を知っているか知らないかで学習効率が大きく変わってきます。

中国語や韓国語といった英語と別の枠組みの言語でも、基本的な学習の進め方に相違はありません。一度言語そのものの学習に慣れるという意味でも、こちらの英語学習メソッドで勉強されることをオススメします。


VII. まとめ

今回は主に、実際に学習に入る前段階の目標設定や、学習する際の姿勢や意識についてお話しさせていただきました。

① 語学学習は日々の積み重ね。独習が基本!
② 具体的な目標と、最終的な到達目標を設定しよう!
③ 初期段階では、基礎体力と習慣づくりを徹底しよう!
④ インプットとアウトプットをバランスよく学習しよう!
⑤ 外国語と日本語は必ずしも一対一ではないという意識を持とう!
⑥ 楽しく勉強するための息抜きを用意しておこう!

次回はより具体的に学習の進め方や方法についてお話しさせていただきたいと思います。

Kitsuné